2023年度の卒業式が行われました．仕事の関係で全員が集合できませんでしたが，４月からの新年度はそれぞれの道で頑張っていきます．今年は，学部長賞が７名選出されましたが，研究室から長谷川さんが選出され，代表して表彰を受けました．

　まだ設立から4年しか経っていない体力学研究室では，何をやるにも常に「新たに」という言葉がついて回りました．定期的なスポーツイベント，100 km マラソンの測定，宿泊を伴ったサマーセミナー，公園での大規模調査，暑熱研究，サッカー連盟との共同研究，実験心理学的な課題，野球におけるランナーの視覚情報，水泳を活用した実験プロトコル，認知と運動を合わせたデュアルタスク，どれも皆さんが２年間の間に体力学研究室で「新たに」創り出してきたものです．教員もまだまだ手探りで進めている部分がある中で，皆さんのチャレンジ精神には何度も勇気づけられました．本当にありがとうございました．

　皆さんが卒業式で受け取った証書は，卒業証書ではなく学位記と呼ばれることがあります．これは，大学に通い続けたから与えられたものではなく，しっかりとした専門教育を受け学士という称号が授けられたことを証明しているからです．では，学士とは何なのでしょうか？私は，「自ら考え，行動し，その結果を省みて次に活かすことができる能力」ではないかと考えています．皆さんは，２年間の研究活動の中で「答え」のない課題に取り組み，自らの行動によって1つ1つを解決してきました．その結実こそが，皆さんが執筆した卒業論文です．問題に直面するたびに，先行研究や同級生，教員に相談し，1つ1つ解決し，前に進み続けることで完成した作品です．

　私たちの目の前には，先を見通すことが難しい時間が横たわっています．その中では，自ら考え行動することで新たな「経験値」を手に入れ，そして諦めずに次の1歩を踏み出せることが何より大切なのかもしれません．研究室で過ごした２年間が，皆さんの人生にとって大きな糧となっていれば，教員としてこれ以上の幸せはありません．どうか自信を持って，まだ誰も通ったことがないあなたの人生を切り開いていってください．２年間，本当にありがとうございました．